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2022.09.29
京都で創業300年『香老舗 松栄堂』専務取締役 畑元章さんにインタビュー!【神田が行く!】

どうも、奈月です☽

本日は、『神田が行く!』香老舗 松栄堂 薫習館での香り体験、の続き!

なんと松栄堂 専務取締役畑元章さんにインタビューさせてもらえることに。
薫習館を案内してくださった企画事業部の富樫さんと、営業部の松岡さんも同席してくだいました。

かんちゃん、聞きたいことがたくさんあるようです。

 

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『神田が行く!』とは・・
SIGHTS KYOTOのマネージャーかんちゃんが、SIGHTSに関わる京都の方や企業さんを訪れて実際に体験し、お話を伺うことで”理解を深めよう!”という企画です。
SIGHTS KYOTOのバーや物販では、京都の素晴らしい商品を使わせていただいています。ですが!まずはSIGHTSの顔であるかんちゃんが勉強しないことには、お客様にもその魅力をしっかりお伝えできません。。
だから神田は行くんです!どこまででも!
時には京都の外にまで出て行ってしまうかも…?
体験者かんちゃん、ライター奈月、カメラマン西澤の3名体制でお送りします!

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先日upした薫習館の記事はこちら☟

宇治の窯元、朝日焼作陶館で陶芸体験!【神田が行く!】

 

かんちゃん 「畑さん、よろしくお願いします!」

畑さん 「こちらこそよろしくお願いします。」

 

だれもが気軽にお香に触れられる空間を

かんちゃん 「さきほど薫習館で香りの体験をさせていただきました!気軽に入れますし、短時間でも十分に楽しめました。松栄堂さんの本店とはまた違った客層ですよね?」

畑さん 「松栄堂の本店に来てくださっているお客様のほとんどの方は、ずっと昔からうちの商品が好きな方です。とても嬉しくありがたいことですが、いかにして新しいお客様にも知っていただくかがここ10年ぐらいすごく大きな課題でした。」

かんちゃん 「そこで2018年に薫習館をオープンされたんですね。オープンを決めたのは、専務である畑さんの想いなんですか?」

畑さん 「私だけでなく、私の父である社長、そして社員の想いでもありますね。」

かんちゃん 「”誰でも入れて、気軽に香りに触れられる場所をつくりたい”というみなさんの想いが、空間づくりからも感じられます。今日いらっしゃったお客様も、お香に馴染みのなさそうな若い女性がほとんどだったのには驚きました。」

畑さん 「頭を白い箱の中に入れて香りを体験する”かおりBOX”も、ラッパから香りがでてくる”香りの柱”も、元々は『香りに集中してもらえるかな~』と思ってああいう形にしたんです。それが2020年7月、有名なインスタグラマーの方が写真を撮ってあげてくれたようで、それがあっという間に若い方の間で広まって…そこから若い女性のお客様が一気に増えましたね。」

かんちゃん 「奇跡の1枚じゃないですか!(笑) 最初からインスタ映えを狙ってのデザインだったわけではないんですね。それがあんなに若い世代が行列をつくるほど…ってすごい。私もみなさんと同じようなアングルで撮らせていただきましたけど、たしかに不思議で面白い写真が撮れますよね。」

西澤 「『誰でも気軽に入れる場所をつくりたい』って言葉で言うのは簡単。だけど、その空間を実際につくって、そこに人を本当に呼び込むってすごく難しいこと。それをしっかり実現してらっしゃるのが見えて、感動しました。」

 

このアングルで撮影してSNSに投稿するのが若い女性の中で流行

 

香りは目には見えないけど、どこにでもある

かんちゃん 「畑さんは、香りにはどんなメッセージがあると思いますか?」

畑さん 「メッセージ…なんでしょう。香りって目に見えないし、記憶にも残らない。『こういう匂い』って口で伝えても再現できないし、伝えきれない。でもどこを歩いていても、必ずそこにはなにかの香りがあるんですよ。目に見えないからこその良さもあり、難しさもあり…」

かんちゃん 「そうですよね。香りってさりげない存在だと思います。特に意識していなければ、その香りに気付かない方もいるかもしれない。」

畑さん 「コロナ禍でお客様が激減する中で唯一増えた若い世代のお客様、特に大学生ぐらいの子が目に見えない香りを体験してくれて、なにか感じて帰ってくれたのかなぁ…と考えたりもしました。ある観光の調査で『若い子は来てくれても何も買っていかない』というデータを目にしたんですけど、結局若い子が買いたくなるものをこちらが提供できていないのかなとも思いました。そこで、うちのインスタグラムをフォローしてくれた方には”香りのしおり”を配布したんです。なんとなくカバンに入れて持って帰って、家で開けたときに”ふわっ”と香りがする。そのときに『あ、松栄堂でもらったやつだ』と思い出してもらえたらいいな、と。それだけでも意味がある。」

かんちゃん 「それで言うと薫習館1階に設置されていた匂い袋のガチャガチャも、すごく良いアイデアですよね!お香に馴染みのない私たちの世代にも、気軽に生活に取り入れられる良いキッカケになると思います。」

 

青春時代のバックパッカー旅行を思い出す、あの強烈な匂い

かんちゃん 「ちなみに、畑さんの好きな匂いってなんですか?」

畑さん 「ええぇぇ!好きな匂い?なんやろ…………ん~…好きな匂いかぁ…えぇと…」

かんちゃん 「…え!?悩むんですか!?このお仕事されてたら今まで何回も聞かれてそうやのに~(笑)」

畑さん 「なんでも好きなんですけど…。あ、あのね。マクドナルドの辛いダブルチーズバーガーあるじゃないですか?」

かんちゃん 「え、まさかの辛ダブチ!?どういうことですか(笑)」

 

 

畑さん 「学生時代、海外旅行で食べたエスニック料理的な…その匂いにめちゃくちゃ似ていて。辛ダブチを匂ったときに、『あ~これ!!』って一瞬にしてそのハタチぐらいの頃の旅行の記憶が蘇ってきてね。すっごい懐かしくてテンション上がったんですけど、隣で妻が『なに言ってんの?』みたいな顔してるんですよ。」

かんちゃん 「そらそうでしょ!(笑) 先ほど畑さんのお話で香りは”記憶に残らない”ってありましたけど、またその匂いに出会ったときには不思議と一瞬にして思い出が蘇ってきますよね。忘れてたのに、その瞬間、昔に引き戻されるというか。『え!うわ、懐かしい!』って全身にブワァ~って鳥肌立つような感覚。」

畑さん 「でもそれを誰かに共有したいと思っても、絶対に共有できない。どれだけ必死に伝えても、『え?』みたいな顔されて全然伝わらない。」

かんちゃん 「畑さんからしたら”懐かしいあの匂い”ですけど、私たちからしたら、ただただ”辛ダブチの匂い”です。(笑)」

 

あえて統一感がないことが、松栄堂らしさ

かんちゃん 「昔ながらのお線香やお香も変わらず製造しながら、Lisnというインセンスブランドも展開されていたり。既存のお客様に愛される京都本店の隣に、若い世代が集まる薫習館があったり、と。松栄堂さんって伝統を守りながらも、あまりそれに縛られず柔軟に新しいことにチャレンジされているイメージがあります。いろんなことに取り組まれている中で、建物やロゴ、商品パッケージなどの目に見える部分の”デザイン”で大切にされていることはありますか?」

畑さん 「よく学生さんの企業分析で『松栄堂は統一感がないですよね。』という意見をいただくんですよ。『トータルブランディングが弱い』的な。(笑) たしかにそうやな、と私も思います。いろんな社員がその都度その都度、いまの松栄堂に対するアイデアを出して組み立てていくので、結果として全体を見るとデザイン的にはバラバラに見えるかもしれない。ただ、だからといってロゴとかもガチっと固めて決めてしまうと、松栄堂らしさが出なくなる。」

かんちゃん 「なるほど…。私たちのSIGHTS KYOTOは『こういうデザインイメージで!』というのが結構決められていて、それを私も西澤に叩き込まれているので真逆です(笑)」

畑さん 「もちろんそれも手法のひとつですし、それができるのはうらやましいとも思います。実際にマーケティング会社から『ブランディングのお手伝いをしたい』と営業がくることもあるし、統一感ないように見えているのでしょう。(笑) 社員研修のときに毎回Tシャツをつくるんですけど、そのロゴもそのときの担当者がその都度オリジナルでつくるんですよ。」

かんちゃん 「えー!普通そこで決まったロゴに統一しようってなりそうなのに!」

畑さん 「そうそう。でもせっかく担当者がつくってくれるし(笑) 企業理念とか想いみたいなものも実際にはあるけど、あえて”ふわっと”させているかな。」

西澤 「『ふわっとさせている』って、めちゃくちゃ深い…。あえてそうさせていることが、松栄堂さんの社風につながっているなと感じます。」

 

 

 

オープンで風通しのいい社風が生みだす空気感

 

かんちゃん 「薫習館のあと、オフィスや社員食堂のフロアも見学させていただきました。驚いたのは、オフィス内にはほとんど仕切りがなくてオープンなスペースだったこと!部署をまたいでのコミュニケーションもとりやすいように、真ん中にはフリースペースもありましたね。社員食堂の利用率もかなり高いというふうにお聞きしました。オフィスを見ただけでも風通しのいいオープンな社風が感じられましたが、社内の交流も多いですか?」

富樫さん 「そうですね。コロナ前は毎年、社員旅行もありました。それも毎年、行事担当として選出された幹事が行き先やツアー内容も考えます。私が幹事だった年は横浜に行く予定だったんですけど、コロナ禍だったのでギリギリ中止になってしまって…。いいホテル押さえてたんですけど…(笑)」

かんちゃん 「悔やまれますねぇ……社員旅行では、やっぱりみなさん飲まはるんですか?」

畑さん 「まぁ…飲みますよね。あんまりやりすぎたら怒られるので、昔よりは研修の要素も少し入れたり…(笑)」

西澤 「松栄堂さんってお堅いイメージがあるぶん、近くで社長とか役員の方が酔っ払ってる姿見れるのはめちゃくちゃ面白いですね。(笑)」

松岡さん 「それで言うと、社長と常務のFIRST TAKEは最高でしたよ。」

かんちゃん・西澤 「なにそれ、なにそれ!!!」

畑さん 「コロナ禍の新歓で新入社員の自己紹介ビデオを撮って流したんですけど、そのエンドロールで社長と常務がFIRST TAKEやってる動画が流れて…」

かんちゃん 「めちゃくちゃ面白いじゃないですか!!(笑) 」

松岡さん 「お腹がよじれるぐらい大笑いさせてもらいました。新入社員たちと一緒に大爆笑。これまでにも研修旅行で宴会のあとのカラオケでお二人がデュエットされたのを見たことありますが、それをFIRST TAKEでやられたら…(笑)」

西澤 「それは爆笑ですね。松栄堂さんのこと、また大好きになりました。(笑)」

 

畑専務はどんな人?

 

かんちゃん 「お二方から見た、畑専務はどんな人ですか?」

松岡さん 「”超人”ですよね。社内の報告書とか、多分専務が見なくてもいいやつまで全部見てコメントまで入れてはるんです。いつ寝てはるんやろ…と思いますよ。あと、最近は200人ぐらいいる社員全員との面談をされているんです。きっといろんな話をされると思うんですけど、それも全員分ちゃんと受け止めていらっしゃる。自分だったら『しんどいな』と思ってしまいそうなことをやってはるので…やっぱり超人です。」

畑さん 「ちゃんと寝てますよ。(笑) まぁみんな得意、不得意はもちろんあります。面談に関して言うと、コロナ禍でなかなかみんなとも食事に行けなくなったし、話す機会をつくろうと思って。だいたい1人30分ぐらい喋るようにはしています。」

かんちゃん 「はぁぁぁぁぁ…。いい話しかでてきませんね。富樫さん、なんかないですか!?」

富樫さん 「あの…めちゃくちゃ優しいです。『どう思ってる?』と常に気にかけてくれて、意見を聞いてくれるんですよ。社員に対していつもフラットな姿勢で向き合ってくださる。オフィスを見ていただいたので分かると思うんですけど、同じ部屋内の見える場所に専務も座っているんです。なので、すぐに相談しにいけるのはありがたいですね。」

かんちゃん 「オフィスを見ても、先ほどの社内交流のお話を聞いていても、オープンで風通しの良い社風をすごく感じます!社長や役員との距離も近くて、社員も意見を伝えやすい雰囲気。そしてそれをちゃんと受け入れてもらえる組織なんだなぁと思います。」

富樫さん 「実は専務は本が大好きで、オフィスの入口にある大きな本棚にいろんなジャンルの本を置いてくれているんです。香りにまつわる本もありますが、漫画もありまして…『鬼滅の刃』が並んだときは取り合いでしたね。」

かんちゃん 「学校みたい!!」

富樫さん 「個人的にどうしても読みたい本があって…専務に『この本置いてくれませんか』とLINEで直接リクエストしたら、すぐに買ってくれました。本当に優しいんですよ。」

畑さん 「悩んだけど、3人ぐらい読んでくれたら元とれるかなぁと思って。(笑)」

かんちゃん 「ちなみに私はほとんど本を読まない人間なんですけど…そんな私になにか本をオススメしてくれませんか?」

畑さん 「ん~。『とんかつDJアゲ太郎』かな。」

かんちゃん・西澤 「なんやそれ!!爆笑」

畑さん 「あとで検索してみてください。(笑) とんかつ屋の息子がDJを目指すんですけど、親父とクラブで板挟みになったり、色んな職人が哲学を教えてくれたり、働く自分の姿に重ねてしまったんです。『HUNTER×HUNTER』には、幻影旅団という敵組織が存在するのですが、その団長の言葉で「生かすべきは個人ではなく旅団」とあるんです。要は”団長なしでも組織は存続させよ”ということ。松栄堂という会社を考えたときに、自分はどう残していきたいんだろう? って真剣に考えてしまいました。要はマンガが大好きなんです。(笑)」

西澤 「なるほど…!!一体『HUNTER×HUNTER』のどこの部分が松栄堂さんに繋がるんだろうと思ったら、まさかの”幻影旅団”でしたか!でもたしかにその通りですね。最後漫画の話から、まためちゃくちゃ深いじゃないですか。」

畑さん 「こんなことばっかり喋って、書けるところあるかな。大丈夫?(笑)」

かんちゃん 「いやいや、最後に畑さんから『とんかつDJアゲ太郎』からの『HUNTER×HUNTER』引き出せて嬉しいです!(笑) 貴重なお時間、本当にありがとうございました!」

 

 

インタビュー終わりに畑さんと記念撮影♪
最後にかんちゃんに感想を聞いてみましょう。

 

『今回は”超人”、畑さんにインタビューさせていただきました。物腰柔らかくて、こちらに寄り添ってお話をしてくださる畑さんは本当に理想の上司!って言葉がお似合い。そして重厚感のある声がとっても素敵です。どの質問に対しても「ん〜…」と考え真摯に向き合ってくださるところがとても印象的でした。

好きな匂いは”辛ダブチ“だったり、おすすめの本は”とんかつDJアゲ太郎“なんて質問の答えとして120点すぎる!とても良い意味で予想の斜め上をいくところが個人的に最高でした。

お話を伺う前と後では松栄堂さんに対してのイメージがまた変わり、伝統は守りながらも常に新しいものや価値観を取り入れていく社風は、畑さんの人柄で体現されているように感じました。

畑さん、松岡さん、富樫さん、本当に貴重なお時間をいただきありがとうございましたー!!!』

 

■香老舗 松栄堂
https://www.shoyeido.co.jp/menu.html

■薫習館
http://kunjyukan.jp/

 

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