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2023.10.14
門川大作市長と語らう、京都という街が持つ”本質”…そして観光業の未来は?【神田が行く!】

どうも、奈月です☽

本日は、大好評『神田が行く!』第十三回!

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『神田が行く!』とは・・
SIGHTS KYOTOのマネージャーかんちゃんが、SIGHTSに関わる京都の方や企業さんを訪れて実際に体験し、お話を伺うことで”理解を深めよう!”という企画です。
SIGHTS KYOTOのバーや物販では、京都の素晴らしい商品を使わせていただいています。ですが!まずはSIGHTSの顔であるかんちゃんが勉強しないことには、お客様にもその魅力をしっかりお伝えできません。。
だから神田は行くんです!どこまででも!
時には京都の外にまで出て行ってしまうかも…?
体験者かんちゃん、ライター奈月、ボイスレコーダー西澤の3名体制でお送りします!

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今回、まさかまさかの京都市役所へやってまいりました。
インタビューのお相手はなんと、お着物姿がチャーミング門川大作市長!!

なぜこんなことが実現したのかと言いますと、先日初めて市長にお会いしたかんちゃんがいきなり…

「『神田が行く!』で行っていいですか!?」
「ええよ。」
「…うそでしょ!?!?」

と突然オファーをしたにもかかわらず、こちらがひっくり返りそうになるほど大変快く引き受けてくださったのです。

平成20年から4期にわたり続けられた京都市長を来年2月で退任されると表明された門川市長。
これまでの京都のこと、そしてこれからの京都のこと。
観光業を軸として、『京都のまちをよくしていきたい!』という想いで動いている私たちにとっても、身の引き締まる濃い対談となりました。

門川市長と、かんちゃん。

一体なにを喋ったん!?ビッグゲストすぎて…これが最終回やなんて、みんな言わんといて~!!

 

神田、京都市民なのに初めて京都市役所へ!?

建築好きの私にとっても、この素晴らしい京都市役所の建築にはかなりテンションが上がります。
かんちゃんも観光しにきたかのような、この嬉しそうな顔!

こちらは正庁の間。エンターテインメントオタクのかんちゃん、舞台に立っているかのようで嬉しそうです。

国内外からの来賓等をお迎えするこちらのお部屋から、扉を開けて進んでいくと…

なんと!こんな素敵なお部屋につながっておりました。

篤志家が、匿名希望で「市役所の改修に当たって、和室など京都ならではの文化が感じられるものに!」と、ポーンと1億円を寄付。それを生かして京都産の木材や匠の技による大改修。すごいですね。

今回はこちらのお部屋で、門川市長へインタビューさせていただきます!

 

観光こそ、人!観光業の未来をつくっていくために。

かんちゃん 「『神田が行く!』で門川市長にインタビューできる日がくるなんて…。本日はどうぞよろしくお願いいたします。私たちニシザワステイは観光を軸にした会社なのですが、実は私が”観光”よりも”人”に興味があるという理由でこの『神田が行く!』という企画が始まりまして…。」

門川市長 「”観光”よりも”人”…という言葉は、最高やね。私は『京都は観光都市ではない。』と断言しているんですよ。京都は観光を大事にはしているけれど、おもてなしの心人々の暮らしの美学、また、生き方の哲学こそが本質。寺社仏閣、町家、景観、食文化も、観光のためにつくられたものではない。そして、京都には1000年を超えるものづくりの歴史があります。ものづくりと精神文化は互いに刺激を与え、高め合ってきた。そして、いまの京都がある。日本は科学系のノーベル賞の受賞が世界で5番目に多く、その約半分は京都。実はそういう街なんです。昨年、ニューヨーク・タイムズの取材でもこのようにお話したら、じっくりと聞いてくれてとても感動してくれはってね。…ところがしばらくして公開された記事を見てみたら、ほとんどカットされて結局観光のことばかり書かれていて驚きました。あの時間はなんやったんや。(笑)」

かんちゃん 「それぐらい京都といえば観光のイメージが強いということですね。(笑) 門川市長は、市長になるまでは長く教育のお仕事をされていたんですよね。」

門川市長 「そうです。教育は、人なんです。しかし、観光こそ、。だから神田さんの言っていることは合っています。ところが日本の観光の最大の課題は、大学で観光の担い手を十分に育てていないこと。京都大学経営管理大学院に観光MBAが開設され、他の大学でも取り組みは始まっているものの…まだまだ真正面から幅広い観光の担い手を育てるという仕組みは出てきていない。そして、国は観光を基幹産業にしようと言っているのに、観光に従事する人の7割以上が非正規。それはどうなんだろう、と。新たな観光の3K【給料がいい・休暇が取れる・希望が持てる】…こうしなければ、『日本の観光に未来はない!』ということを、あちこちで言って、お願いしてるねん。」

かんちゃん 「うちも給料…あげていただいてます。(笑) たしかに、未来に希望が持てる業界でないといけませんね。」

 

京都の美学や哲学こそが、SDGsにつながっている。

かんちゃん 「先ほどもお話に出てきた京都の美学哲学というのは、どういったところに表れていると思われますか?」

門川市長 「ん~…一言では表すことができへんのが京都やね。たとえばこの前、知り合いの女性から聞いた話。その方には昔からお世話になっているのですが、ご結婚で東京へ行かれたあとも京都のためによくしてくださるんです。その方のお子さんが東京から修学旅行で京都へ来て、どこかのお店で竹串に刺さったものを買って食べた、と。食べ終わって『串を捨てて、手も洗いたいなぁ。』と思って、近くのコンビニに入った。ところがトイレが使用中だったので串を持ったまま外に出ようとしたところ、店員さんが声をかけてくれて、『ここに捨てたらええよ。これも使いよし。』とおしぼりまで手渡してくれたんだそうです。そのお店ではなにも買っていないのに。『これがお母さんが言っていた”京都のおもてなし”だ!』と、えらく感動されたと聞きまして…あぁ、ええ話やなぁと思いました。」

かんちゃん 「京都にそういった温かい印象が残るのは嬉しいですよね。いろんな方にお話を伺う中で、京都には昔から”始末の心・もったいない精神”も根付いているなと感じます。」

門川市長 「そうですね。実は京都市では、市民の皆さんの努力で22年間ゴミが減り続け、82万トンが38万トンに。最近ではSDGsとよく言いますけど、その言葉が世に浸透する前から京都のいろんな会社の経営方針では同趣旨のことがすでに大事にされていました。たとえば8年前、中小企業の若きリーダーみんなで中小企業の振興策をつくることにし、そのために京都市地域企業未来力会議(旧・中小企業未来力会議)を立ち上げました。テーマはあらかじめ決めなくて、”中小企業の課題と可能性と未来”を議論してもらう場。一般的に、審議会は長老が集まって審議をするでしょう。でも、それはやめておこう、と。長老には周りにいてもらって、若い人たちの議論に関心を持って聞いてもらう。そして、時にサポートをしてもらう。そして、中小企業の若手・中堅の方々や、学生さんも市職員も含めて議論し、出来ることから実行しよう、と。そんな会議で毎回盛り上がりました。そんな議論の深まりの中で、『企業の大きさではなく志で評価を。自分たちは”地域に根ざし、地域と繋がり、地域と共に継承・発展する地域企業”である。』と地域企業宣言をしはったんです。これには感動しました。これはSDGsの理念そのものなんですね。まだそれが浸透していなかった時代に社訓を超えて、若き地域企業のリーダーの中に魂が脈々と伝わっている…というのは、ありがたいなぁと思いましたね。そこで議会に『京都市地域企業の持続的発展の推進に関する条例』を提案、制定しました。景観政策にしても、派手な看板を掲げていた街中の約3万軒のお店やビルが、みんな自費で看板を撤去してくれはったのです。京都は、決めるときにはいろいろと議論するけれど、決まったら『みんなで協力していこう!』ということができる街なんです。」

 

着物姿がトレードマーク!市長スイッチは常に入っている?

かんちゃん 「門川市長はお着物姿がトレードマーク街中を歩かれていても、京都の方ならパッと見て市長って気づきますよね。ここ十数年…家から一歩出たらもう『市長だ!』っていう意識を持たれていると思うんですけど、ちょっと今日は市長モード違うねんけどなぁ…みたいなときとか、ジレンマとかはぶっちゃけあるんですか?」

門川市長 「あのね…青信号がチカチカしだしたら、渡っている途中に赤信号になるかもしれへんと思って立ち止まる。ホンマは渡りたいなと思うときもあるやん。(笑) でも 365日、青信号がチカチカしだしたときだけは…ハッとします。それ以外はあんまり意識してへんね。」

かんちゃん 「えーーー!?そこですか!?思ってたより可愛いジレンマでした!!(笑)」

門川市長 「街を歩いていると、観光バスや幼稚園バスから手を振ってもらえるんですよ。あれは嬉しいですよね。バスガイドさんが『あれが市長です。』って言ってはるねん。(笑)」

かんちゃん 「ミッキーマウスみたい!!(笑) やっぱり街中でよく声をかけられることもあるんですか?」

門川市長 「ありますよ。たとえば以前、四条通のビルから出た瞬間に『ちょっと、ちょっと!市長!!』と大きな声をかけられたことがあってね。40代ぐらいの男性でした。なにを言われるんやろ…またなんか怒られるんかな…と思いながら心を整えて聞いてみると、『僕、1年ほど前に”四条通に一体なにをしてくれるねん!!この辺で商売してるのに、車が通られへんやないか!”って市長にものすごく怒ったんですよ。』と言わはったんです。四条通の歩道拡幅の事業のことです。あのときはまぁ~皆さまには多大なご心配をおかけしましたけど…いま安全で綺麗になっているでしょう。その男性が続けてこう言うんです。『そのあと子どもが生まれたんです。妻と一緒にベビーカー押して、四条通を歩けるようになりました。おおきに!』って。あれはめちゃくちゃ嬉しかったし、忘れへんね。」

かんちゃん 「ちなみに、防災訓練と京都マラソンの日以外は常に着物を着ているというのを記事で拝見したんですけど…毎日のお着物のコーディネートはご自身でされるんですか?」

門川市長 「そうですよ。家に帰ったらまず階段下の着物のスペースに干して、一日干したら翌日には妻が布団の下で寝押し。そうするとピンとなる。妻のお尻に敷いてもらって、折り目正し!また、着物はメンテナンスが大変で、長年妻に大きな負担をかけてます。おおきに、です。」

かんちゃん 「なるほど~!!(笑) 常にお着物を着るようになったキッカケはなにかあるんですか?」

門川市長 「私が市長になった年が京都とパリの姉妹都市50周年。その2つの都市をイメージしたデザインの法被(はっぴ)着物の羽裏を洛央小の児童と地域の友禅作家の黒島さんが、郷土学習の一環として作ってくださった。そこで、私もパリでは着物を着続けようと決意して、自分でも着られねばならないと、パリ出発前に、妻に応援してもらいDVDを観ながら特訓したんです。パリでは、ものすごく喜ばれました。海外で着物を着ていると、やっぱりものすごい反響があります。当時はパリで自転車のシェアリングサービスが流行り出した頃で、私が着物で自転車に乗っている姿が映像で報道されたんです。(笑) 着物は世界最高の服飾文化と実感するね。その辺りが『ずっと着物を着よう!』と思ったキッカケです。」

かんちゃん 「そういうキッカケだったんですね!着付けはどれぐらい特訓されたんですか?」

門川市長 「一週間で『あ、いけそうやな。』と思いました。(笑) 当時は京都でも男性が着物を着て歩いている姿はほとんど見ませんでした。ところが10年ほど前から着物を着て歩く観光客が増えましたよね。そこで生活している人間は利便性を求めますが、旅人は非日常・地域固有の文化を求めます。京都人は意外にコーヒーやパン、牛肉が好き。たとえば着物に限らず、和食、町家…を求めているのは観光客。つまり、“観光”というものをきちっとマネジメントすると地域固有の文化の価値を再認識し、コミュニティや匠の技、伝統産業等の継承発展につながり、文化を守ることにもつながるんですね。

4年前、令和元年に、国連の文化観光機構(UNWTO)とユネスコ共同での『文化と観光の国際会議』が京都で日本初開催。そのとき、京都市におけるこうした取組と【時期】【場所】【時間】の3つの集中を打破し、地域の豊かさにつながる持続可能な観光。例えばこの16年間で、11月と2月の観光客の差は3.6倍から1.3倍にと平準化し、【季節雇用】から安定した【通年雇用】へと進化。観光先進都市から観光課題解決先進都市へ、と私から提案。すると、京都モデルとして高く評価され、会議で採択された京都宣言で『京都モデルを広めよう』と明記されたんです。いま、京都での市民ぐるみの観光の取組が世界で高い評価なんですよ。」

 

”観光”が世界の平和維持装置になる未来を!

かんちゃん 「今期限りで京都市長を退任されますが、個人的にこのあとやってみたいことはありますか?」

門川市長 「まだ退任まであと半年ありますが…市長職が終わったら保護司1年生をさせてもらいたいです!」

かんちゃん 「保護司!?なぜご興味を持たれたんですか?」

門川市長 「担い手がどんどん減っているというのと、実は父が40年間保護司をしていたんです。その姿も見ていたし、保護司になれるのは75歳までだからギリギリセーフ。(笑) 犯罪は減っていますが、再犯率は高まっています。罪を償って再出発をする、そのお手伝いがしたい。時間ができたら、そういうこともさせてもらえたらと思っています。」

かんちゃん 「長く教育のお仕事に携わっていた門川市長らしいお考えですね。では最後に…門川市長にとって”観光”とはなにか教えていただきたいと思います!」

門川市長 「観光とは、人間の生き方。新たな自分と出会ったり、人と出会ったりする。21世紀、文化と観光が世界の平和維持装置になると思っています。これから軍事産業が栄えてそこで働く人が増えるのか、文化と観光の担い手が増えて、人々の幸せと経済的にも大きな役割になっていくのか、この競争です。文化と観光は多様性を認め合う。包摂を大事にする。そういう人が増えていったら、戦争なんてやっている場合ではないですよね。そういう世界になるためには、文化と観光の担い手がとても重要になります。ぜひ!よろしくお願いしますね。」

門川市長とかんちゃん…ハートマークをつくっちゃうほど仲良しに!?
ご多忙の中、貴重なお時間をありがとうございました。

では、最後にかんちゃんに感想を聞いてみましょう。

 

「今回の『神田が行く!』は、まさかまさかの門川市長!皆さん…『神田が行く!』は最終回ではございませんよ。(笑)

写真からも伝わると思いますが、市長は本当に気さくでチャーミングな方!初めてお会いしたときから謎の安心感を勝手に感じ『あ、市長ならいけそう…!』と思って今回のインタビューを直談判させていただきました。(笑)

私は『人に興味がある』というのをニシザワステイに入社してからずっと言い続けてきましたが、そのお話をさせていただいたときに市長が目をパッと開いて『最高やね…』と言ってくださったことがめちゃくちゃ嬉しかったです。市長も”人間浴”が趣味とおっしゃっているくらいなので、きっと私と趣味が合いますね。

いろんなお話を聞かせていただきましたが、やはり市長の人柄が伝わるようなお話がとても印象的でした。
『これだけ顔が知られていたら、市長としてのジレンマってめちゃくちゃあるんやろうな~』と勝手に思っていたんですが、思ったよりも可愛いジレンマでほっこり!インタビュー後、街を歩いていて信号が点滅していると市長の顔が浮かぶようになりました。(笑)

最後はまさかのハートポーズを市長からしてくださり、最高の締めになりました!

門川市長、今回はありがとうございました~!またハートポーズ作りましょ~!」

 

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