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前編では、京都観光の現状と持続的な観光のために行われている取り組みについてお話ししました!観光客は微減傾向にあり、海外観光客は日本人観光客のわずか20%と意外と少なく、びっくりしましたね。持続的な観光のために、観光客や事業者に向けた取り組みについても知ることができました。その中で生まれた一つの想い。それは…

“持続的な観光を実現するためには、市民の理解こそが必要なのでは!”

そんなわけで、後編では“市民の観光に対する理解”についてみなさんと一緒に考えたいと思います!

 

どうして市民の理解が必要なの?

はじめに、私がどうして持続的な観光のために市民の理解が必要であると思ったのか理由をお話します。

観光客に向けた取り組みには、限界があると思います。毎年、約5300万人の観光客が京都を訪れています。またこの先も観光客がより増えていくことが考えられます。海外からの観光客にフォーカスを当てて考えてみると、世界中から約886万人弱の様々な国籍人種価値観の人が毎日訪れています。観光客の平均滞在日数は1.71日。代わる代わるやってくる観光客に対して持続的な観光に向けた取り組みを毎日、毎日行うことは果たして持続可能と言えるのでしょうか?

もちろん、観光客に向けた取り組みを否定しているわけではありません。ただ、毎日入れ替わる観光客に向けた取り組みよりも、この京都の街で日々を過ごしている住民の皆さんがほんの少しだけでも持続的な観光に対する考え方を変えることのほうがよっぽど“持続的”だと私は考えます。しかし、観光にまったく関わりのない住民、観光の利点が分からない住民にとっては理解しがたいことだと思います。ではどのようにすれば、この“観光に対する理解”は醸成されるのでしょうか?

 

市民としての誇り“シビックプライド”

みなさんは“シビックプライド”という言葉をご存じでしょうか?シビックプライドとは、直訳すると「市民の誇り」です。自身の住む地域に対する愛着や誇りは、観光に対する理解につながるとされています。

ところで、海外の主要観光地では、京都よりも前に、より大規模なオーバーツーリズムが起きているケースがあります。そんな海外では、オーバーツーリズムに対する解決策の一つとしてこのシビックプライドの醸成への取り組みが行われてきました。海外で実際に行われた事例を見ていきましょう!

まず初めに、一口にシビックプライドと言っても様々な種類、そして訴えかける方法があります。

タッチポイントの違いによって、市民がどのように都市の魅力を受け取るかが異なります。シビックプライド醸成の実施方法もそれぞれの都市に適したコミュニケーションを選ぶ必要があり、その違いもとても興味深いです。今回のブログではそれぞれ種類の異なる方法を実践している2つの都市の事例を紹介したいと思います!

 

アムステルダム「I amsterdam」

オランダのアムステルダムでは、理解が醸成されるロゴや広告などが特徴的な取り組みが行われました。「I amsterdam」は、「アムステルダムは卓越したセンスとスタイルを持つ、創造的でイノベーティブな都市である」という市民としての自負を醸成するために行われ、街のいたるところにこのロゴが表出されました。また20人のカメラマンが街に繰り出し、市民の写真を撮りプロモーションの一環として作られた写真集もこの取り組みの特徴的なところです!取組後には86%もの市民がアムステルダムに親しみを持っていると回答しました。

I amsterdam: https://www.iamsterdam.com/en

マンチェスター「Urbis」

イギリスのマンチャスターでは、共感が醸成されるワークショップやキャンペーンが特徴的な取り組みが行われました。この「Urbis」とは、1996年に起きた爆弾テロ事件からの復興を目的に建てられた“都市生活のミュージアム”です。「Urbis」では都市の歴史や文化の展示が行われていますが、さらに特徴的で興味深いのがシビックプライドの醸成に関わるワークショップとUrbisツアーです。このワークショップは貧しい地域の小学校や難民の子供たちに向けて行われ、「彼らがどのようにマンチェスターという街と関わっていくのか」や「マンチェスター市民であるとはどういうことか」などシビックプライドに繋がるような議論の場が設けられています。また、歴史や文化、近代の音楽シーンをめぐるなど幅広いジャンルが特徴のツアーもあり、Urbisのツアーガイドが案内してくれます!

Urbis: https://urbis.com.au/

 

ここまで、二つの都市がそれぞれ違ったアプローチで行ったシビックプライドの醸成への取り組みについて紹介しました。ロゴや広告を活用した視覚的なアプローチのアムステルダムの事例と実際に体験するマンチェスターの事例は、シビックプライドを醸成する目的の中でも違った手法でした。

どちらも観光地として名高い地域であり、もしかすればこのシビックプライドが持続的な観光に一役買っているのかもしれません!

 

答えはもっとシンプルなのかも…

ここまで、世界各地で地域住民の理解の醸成に有効とされる“シビックプライド”について考えました。地域住民を巻き込んだプログラムを実践し、観光に対する理解を深めることが必要である、と難しいことを書きましたが…答えはもっとシンプルなのかもしれません。

私は、地域住民(京都市民)が少しだけ観光の捉え方、観光客との向き合い方を変えるだけで京都市の観光は大きく変わると考えています。 “観光客と地元住民” と考えず “一人の人と人の関係”として考えてみるのはどうでしょうか?

観光客だから”とか“外国人だから”と取るに足らないことは言わずに向き合ってほしい。

これが今の私の想いです。世界中、どこの観光地に行っても優しい人もいれば、厳しい人もいるのが実際のところです。でも間違いなく人への思いやりリスペクトで良い観光地は続いています。それは観光客にも地域住民にも言えることです。観光や旅行が好きな人なら、地元の人に良くしてもらった経験がきっとあると思います。

この考えって、実は昔からあったのかもしれません。

京都に1500年以上伝わる仏教の“利他”という考えを皆さんはご存じでしょうか?

“利他”とは、自身の幸福や利益よりも他社の幸福や利益を優先する考えのことです。

この考えが京都人の根っこにあるからこそ、京都の観光は何百年ものあいだ続いてきたのでしょう。

冒頭でも話したように、観光客は毎日代わる代わるやってきます。そんな観光客に対する大きなひとつの取り組みよりも、毎日京都で暮らす地域住民の小さな取り組みの積み重ねの方がよっぽど意味があると私は思います。

利他の考えを紹介しましたが、地域住民に対して観光や観光客のために何かをしてほしいとも一切思いません。ほんの少しだけ、ほんの少しだけでいいから観光に対する考え方を、見方を変えてほしいです。きっとその少しの気持ちの変化で京都の観光は持続的なものになるはずです!

マイナスの感情を0に戻して、京都に長く続く観光を、世界に誇れる京都の観光をみんなで一緒に創っていきませんか?

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某ニキ

観光問題と移民問題は類似点があると思います。

根本的な問題は「元々その地に住んで生活している人達が目に見えるメリットを享受できないのに、外部から来る人たちに対する様々な配慮を求められる」という点に尽きるかと。

理想論としては記載されてるとおりですが、本当の意味で持続可能な環境を作るのであれば、シビックプライド云々以前にまずは行政の責任で京都市民に寄り添った環境整備をするべきかと思います。