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2023.02.10
かっこいいのにかっこつけない!デザインセンスの塊…設計事務所FHAMS福本さんとマシンガントーク【神田が行く!】~後編~

どうも、奈月です☽

本日は、大好評『神田が行く!』第七回!の、後編!

 

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『神田が行く!』とは・・
SIGHTS KYOTOのマネージャーかんちゃんが、SIGHTSに関わる京都の方や企業さんを訪れて実際に体験し、お話を伺うことで”理解を深めよう!”という企画です。
SIGHTS KYOTOのバーや物販では、京都の素晴らしい商品を使わせていただいています。ですが!まずはSIGHTSの顔であるかんちゃんが勉強しないことには、お客様にもその魅力をしっかりお伝えできません。。
だから神田は行くんです!どこまででも!
時には京都の外にまで出て行ってしまうかも…?
体験者かんちゃん、ライター奈月、ボイスレコーダー西澤の3名体制でお送りします!

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前編だけではFHAMS福本さんのお話が収まりきらなかったので、まさかの後編に突入!

まだ前編を読んでいない方は、先にこちらからどうぞ!

かっこいいのにかっこつけない!デザインセンスの塊…設計事務所FHAMS福本さんとマシンガントーク【神田が行く!】~前編~

 

 

”おもしろい人”とは、”かっこええ人”

かんちゃん 「福本さんが思う”おもしろい人”ってどういう人ですか?」

福本さん 「さっきの話の続きになるけど、やっぱりPlan・Do・Seeの野田さん(社長)はやっぱりおもしろいよなぁ。男気があって、とにかくかっこええ。あとは、徳島の造園・阿波三松園の三浦先生。SIGHTS KYOTOの坪庭もやってもらった人やけど、年齢は70代後半ぐらいでめちゃくちゃ職人。『先生いつまで仕事するんですか?』って聞いたら、『依頼されるまで。』って答えはる。かっこええ~!!30歳ぐらい年下の僕らとも、若い子ともちゃんと会話ができるっていうのはやっぱり気が若い証拠。あんな人になりたいけど…なれるかなぁ。ずっと仕事してはるわ。メディアにあんまり出ないし。」

かんちゃん 「でた、”メディアに出ない”!!(笑)」

福本さん 「野田さんもそうやわ。別にメディアに出ている人が嫌いって訳じゃないけど、そっちがメインになるのはどうなんかなと思う、て話。(笑)」

かんちゃん 「福本さんは何歳までお仕事されます?」

福本さん 「ん~逆に何歳までできるんやろうな。でも、年をとって柔らかくなってくるとそれがまたいいよね。それまでの人生でなにを、どういうことを考えてきたかというのが仕事にも出てくると思う。それで言うと、40代の自分は全然まだまだやなぁ。」

 

頭の引き出しに詰まる、美的感覚とセンス

かんちゃん 「福本さんの感覚センスの良さについて、西澤から何度も聞かされているんです。(笑) 福本さん自身は、センスを磨くために自発的にいろんなところへ出向くんですか?」

福本さん 「旅するのは好きやけど、そんなに多くないかな。でも、偶然出会った”その場で観た景色”とか”ちょっとした街角の感じ”、そういうのをめっちゃ覚えている。『この感じいいなぁ。どこかで使えるかな。』と考えているだけでも十分インプットになってるよね。自分を磨く、勉強をする、ということはもちろんあるけど、なにかを沸々と生み出したいっていう気持ちがあるし、インプットとアウトプットのバランスは取りたいかな。」

奈月 「福本さんの頭の中にはいくつも引き出しがあって、そこには今まで見てきたものの映像とか写真がパンパンに溜まっているような気がします。」

福本さん 「あ~たしかに。『あのフォントかっこよかったなぁ。』とか、そういうちょっとしたことをずっと覚えてる。たとえばこれはフォーチュンガーデン京都のプロジェクトで島津製作所の現場に残っていたもの。かっこええなと思って、もらって帰ってきてん。その上にある写真は、スリランカの建築家・ジェフリー・バワの建築。『この廊下かっこええ~』ってずっと頭の中に残ってる。」

「ここがカメラっぽくて、ええやん。」

奈月 「初めて福本さんにお会いしたとき、こちらがふわっと投げたイメージに対して『あ~はいはいはい。これニューヨークの〇〇っていうホテルやねんけど…』って感じですぐiPadから写真を出して見せてくれて。喋れば喋るほど、投げれば投げるほど、福本さんの頭の中にある記憶の断片をどんどん出してきてくれる。めちゃくちゃ”感覚の人間”やなぁと思うし、次どんなもの出してくれるんやろうとワクワクします。福本さんってよく”かっこええ”っていう言葉を使いますよね。私たちは福本さんが持っている”かっこええ”という感覚が大好きやし、それを信頼しています。」

かんちゃん 「西澤夫妻は本当にふわっと投げてくる話が多くて…(笑) 私は1回目だと『…は?』ってなってしまうんです。一旦持ち帰って、自分なりにめちゃくちゃ調べてまず頭に入れるんですよ。そして3日後ぐらいに『私はこう思います。』ってようやく返答するっていう…。」

西澤 「福本さんやったら2秒で返ってくる。(笑)」

福本さん 「僕も勝手に出てくるわけじゃないし、忘れていることもいっぱいあるよ。でもたしかに頭の中にはこれまでインプットされたものが詰まってるんやろうな。だれかにお題をもらってこそ、その引き出しを開けてポンと出すことができる。…あ、コーヒーどうぞ。冷めちゃったけど。」

かんちゃん 「そんだけ喋ってたら、そらコーヒーも冷めるわ!!」

 

福本劇場~だからしょうもないもんばっかりできるねん!~

かんちゃん 「クライアントからの要望や条件を聞いて、それをクリアしながらもデザインや空間を生み出していく…ってすごい。でも大変でしょうね…。」

福本さん 「そうやなぁ。ホテルでよくあるのは、チェックインカウンターの隣にあるロビーラウンジを、自由なスペースにはしたいんだけど簡単に入れすぎたり、あんまり滞在されすぎても困る。だからここに壁をつくりたい…でも完全に仕切りたくはない…みたいなこと。そういうことにも対応できるように100個案出せと言われたら出せるけど、納得してもらうためには出す案の順番も考えないとあかんしね。お店とかそういう空間が好きな方やと理解が早くて助かるけど。」

かんちゃん 「その担当の方によりますもんね。」

福本さん 「そうやねん。特に大きい企業案件のときは、その担当者の方が全然分かっていないと大変で…あ、ほんまにヒドイことがひとつあってん!!」

西澤 「福本劇場、始まります。3か月に1回する話。(笑)」

 

福本さん 「ある大きい電鉄会社の話やけど、ホテル開発担当の人が年に1回ぐらい変わるのよ。まず最初の担当の方と『ああしましょう、こうしましょう。』ってある程度打ち合わせしても、1年後に担当者が変わる。その新しい担当者と話の続きしようとしたら、『え、なにそれ。やだ。』って言われて…。いや、やだってなに?話聞いてた?みたいな。(笑) 」

奈月 「始まってもうた~。(笑)」

福本さん 「責任とりたくないからなにを話していてもネガティブなワードしか出てこない。お風呂の話してるのに『家具の配置がおかしい』。…いや、今その話関係あらへんがな!家具はCADで動かせるやろ!とにかく揚げ足とろうとしてくる。あまりに腹立って『揚げ足とっておもしろいですか?』って言ったら、『失礼ね。』……いやどっちが失礼やねん!!

全員 「爆笑」

福本さん 「そもそも契約書交わすときに打ち合わせの回数とか、パース何枚描くかとか、そういうのも見積もりに入れて話すやん。そのときに担当者が『あの~…パースいらないです。』って言わはるねん。『いや、パースはいりますよね?』『いや、いらないです。高くないですか?』って。図面が何枚かあれば社内で決算通せるんじゃないか、と思ってはるねん。5坪ぐらいのバーやったら分かるけど、そこから4年ぐらいかかる大きいプロジェクト。そりゃこれぐらいかかりますよって見積もり1つずつ、やる気ないヤツに説明せなあかん。」

西澤 「その人がホテル好きじゃなかったら難しいでしょうね…たまたまホテル開発担当になっただけだと…。」

福本さん 「そうやねん。『日本で最高のものつくろうってコンセプトでやるんでしょ?』って聞いたら、『ホテル興味ないんで…。』って。『だからダメなんですよ。』って言ったら『責任負うの嫌なんで。』って言ってたわ。日本の企業の悪しき習慣が残ってる。大企業の周りにいたら仕事があるし…って思って側についている企業もある。だからしょうもないもんばっかりできるねん!!日本がダメになる理由はおまえらや、と!

西澤 「そういう企業、人が多い。安全にいきたいからおもしろくないものばっかりできてる!」

福本さん 「一方で、おもろいもの考えたらつくれるねん。つくれるのに、考えようとしない!!」

かんちゃん 「福本劇場、またヒートアップしそうなので話題変えましょう!(笑)」

 

”その場に行かないと見つけられないもの”を見つけたい

かんちゃん 「私たちは観光が軸の会社なので最近いろんな方にこの質問をしているんですが…福本さんにとっての”観光”とは?」

福本さん 「観光とは…”発見”かな。ガイドブックを見ているだけでは分からないけど、実際に現地まで行っていろいろ見ていると『え、こんなんあったん!?』みたいなものってあるやん。そういうのを見つけたい。見つけたら『よっしゃ!ラッキー!』って思うねん。なにかアートを飾るとしても、ストレートに表現するのはやめよう、と思う。パッと見て分かる清水寺そのものの写真じゃなくて、かっこいい金物を使っている一部分とか。」

かんちゃん 「京都の中で、『ここのこれ、めちゃくちゃいい!好き!』みたいな場所ありますか?」

福本さん 「曼殊院門跡八窓軒茶室!お釈迦様の一生(八相)を表す、八つの窓を持つ茶室やねんけど、あれはビックリした。室内にはもちろん照明なんかない。なのに、点前座で光を背にして座るとお茶を点てる手元だけ照らされているみたいになる。風が吹くと、室内から見上げた天窓に映る木陰とともに建物内の影も揺れる。他にも”虹窓(にじまど)”というのがあって、障子に映る枝の影が雨降った翌日の晴れた日だけ虹色になるねん。僕が行った日は偶然その虹色が見れる日やって、もう…全部がかっこよかった!どうやったらこんな設計できるんやろう…と1番感動したなぁ。」

かんちゃん 「えぇぇ~・・見てみたい。すごいですね、先人の方々のセンス…。」

福本さん 「もうひとつ!唐紙職人の方に聞いた話やねんけど、桂離宮に”水面”と”紅葉”の模様が重なった襖がある。一見、水面に浮いた落ち葉のように思えるねん。でもよく見てみると、水面の上に紅葉ではなくて、水面の下に紅葉があるねん。ということはまだ紅葉は落ちていなくて、水面に映る紅葉を描いてるということ。重ねる順番で時間軸を表現する…って、はぁぁぁぁ~お洒落!なんなん自分?!」

かんちゃん 「先人に対して!!友達ですか?(笑)」

福本さん 「ガウディが自然の形状を表現する建築家だとしたら、日本の本来の建築家からは『自然をどう感じるか。』みたいな問いかけを感じる。直接的に木を見せるのではなくて、障子というフィルターを通したこの小さな空間の中からいかに感じ取れるのか。いや~あれほど感動したところはないわ。あの八窓軒茶室を見てしまったら、今の設計の人の建築見ても『あぁ~雑誌が喜びそうやなぁ。』みたいな。」

かんちゃん 「でた!(笑)」

福本さん 「発見というか、押し付けられているように感じる。僕は新しいものを見るよりも、先代の人たちのものを見て学ぶ方がええものがつくれるような気がするな。だからSIGHTSもやっぱりええよね。先人たちってめちゃくちゃかっこいいことしてる。そういうのを発見すると、『ナイス!やられた!』って思うよね。」

西澤 「やっぱり福本さん、聞けば聞くほど出てくるわ~。(笑) どう、かんちゃん。福本さん素敵でしょ?」

かんちゃん 「はい。めっちゃくちゃ素敵です!」

福本さん 「・・すんません!こんなもんで大丈夫?」

西澤 「いやいや2時間ぐらい喋ってもらったので十分です!(笑)」

 

 

120分1本のおしゃべり勝負、勝者は間違いなく福本さんでしたが、かんちゃんがなにかトロフィーのようなものをいただいております。

では、かんちゃんの感想を聞いてみましょう。

 

『はいどうも、120分1本勝負に早々に完敗した神田です。福本さん、こんなに強敵だとは思っていませんでした。。。

これまで「神田が行く!」の記事を見てくださっている方ならわかると思うんですが、明らかにこれまでと文字数が桁違いでしょ?というか前編後編に分けてるのにこの文字数っておかしいでしょ?

もうインタビュー始まって2秒で完敗を確信するほど、ずーっと右ストレート食らってる気分でした。福本さんほんまに死ぬほど喋る。喋りすぎやん(笑)ホットコーヒー出していただいてたのに、飲んだときアイスコーヒーになってましたからね。

でもめちゃくちゃおもろいから聞いてて飽きないですし、ちゃんと「あぁ〜なるほど〜!」って発見があったり、学びがあるからすごいんですよね。

しっかりとお話しさせていただくのは今回が初めてでしたが、おもろいを死ぬほど重視している西澤夫妻が太鼓判を押す福本さんはやっぱ凄かったです。

そんな福本さんに手掛けていただいた内装のSIGHTSで毎日働けている私は本当に幸せ者だと改めて感じた今回の「神田が行く!」でした。

福本さん今回はありがとうございましたー!!!!』

 

■FHAMS
https://www.fhams.com/

 

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